

T-Friends
2016.5.11
3,431 ![]()
池下CLUB UPSET 10th ANNIVERSARY My Hair is Bad×cinema staff“ROCK the ROCK!!”
My Hair is Bad×cinema staff 音楽への純粋な想いが昇華した2マン
My Hair is Bad×cinema staff。今の音楽シーンを前へと引っ張っていくパワーに溢れた2バンドの対バンが、アニバーサリー真っ最中の池下CLUB UPSETで行われた。開場と共に次々と現れるオーディエンスは、各々のバンTを身に纏い一様に笑顔を浮かべている。公演はもちろんソールドアウト。多くの人がこの日を楽しみに平日のライブハウスへと足を運んでいた。

先攻はMy Hair is Bad。突然現れた3人が拳を合わせて「わっ!」と声を上げ、ヒシヒシと伝わってくる気合。そして、「UPSET 10周年、おめでとうございます。My Hair is Bad始めます」と椎木 知仁(Vo/Gt)が呟き、真っ白なライトに包まれた『優しさの行方』でLIVEはスタート。自分の持っている想いを外へ外へと放出していくようなステージングは健在だ。『愛ゆえに』、『ドラマみたいだ』をまるでクライマックスのような熱量で演奏し、「新潟県上越市から来ました、My Hair is Badです。僕らなりに心を震わせられたら良いな。宜しくお願いします」と自己紹介をする頃には既にオーディエンスの心をしっかり掴んでいた。

続けて『悪い癖』、『元彼氏として』と振り幅たっぷりな歌を届ける。心底LIVEを楽しんでいるのだろう、暗転したステージからは鼻歌が聞こえてくる1面も。そして、10周年を迎えたUPSETをお祝いし、対バンのcinema staffがとても好きなこと、それでも今日は、2マンだから負ける気はないことを気合たっぷりに話すと、奏で出したのは彼らのブレイクスルーでもある『真赤』。伸びやかな歌声で綴られる赤裸々なストーリーには、聞き手の心の中までするりと入り込んで、自然と聴き入らせてしまう力がある。

攻撃的にさえ感じるエネルギッシュなナンバーを連発して、フロアのテンションを急上昇させると、『元彼氏として』をあっけらかんに歌い上げる。『マイハッピーウェディング』が終わる頃には、彼らの剥き身でぶつかっていく様ながむしゃらさを前に、自らも心の鍵を開いて自然体で音を感じているオーディエンス。「ありがとう!」と椎木が叫ぶと応えるように歓声が巻き起こった。


「cinema staffとの2マン、ここで出来るのはすごく嬉しい。今日のLIVEは先輩に噛み付く後輩でいたい」と口にした椎木はギターを掻き鳴らすと、フロアを見据えて言葉を投げかけ始めた。“平日のライブハウス。僕らはここに立って、ホームランを打たなきゃいけない”“あんたらの人生の打席に立っているのは間違いなくあんたたちだ”。マシンガンのように言葉をフロアへと投げかける口調に迷いはなく、無数の拳が突き上げられた。

ぽつり、ぽつりと紡がれる言葉がじんわりと染み込んでいくような新曲『卒業』を丁寧に歌い上げ、「言いたいことはありません。僕もただ嬉しかった」と話した椎木が“今、1番歌いたい歌”だと紹介したのは『戦争を知らない大人たち』。山本 大樹(Ba)、山田 淳(Dr)が織りなすバンドサウンドと、何度も繰り返される《グッドナイト》の言葉が薄暗いライブハウスの中に捧げられた祈りのように響いていた。

熱演のラストを飾ったのは『アフターアワー』。「まっすぐにいきる!」と叫んだ言葉がそのまま彼らの奏でる音楽を表しているような、どこまでも全力投球の嘘のないステージだった。

続いて真っ青なライトが照らす中、興奮を隠しきれないオーディエンスの拍手で迎え入れられたのは、cinema staff。オンステージするや否や、『KARAKURI in the Skywalkers』のうねり出すような轟音を奏で出した4人。期待を表明するように手が上がっていき、飯田 瑞規(Vo/Gt)のハスキーな歌声が三島 想平(Ba)のコーラスと混じり合うと一転して空を飛んでいくような爽やかさがフロアを包み込んだ。「ただいま、名古屋!」と叫ぶ声に喜びが滲んでいるのは気のせいではないだろう。続く『theme of us』では、満面の笑みを浮かべた辻 友貴(Gt)がアグレッシブにステージの上を飛び回っていた。

ステージで楽しげに動きまわる4人に手を引かれるように飛び跳ねるオーディエンスが、フロアを揺らした『tokyo surf』、『dawnrider』と歌の表情をコロコロと変えながら聴き手を巻き込んでいくメンバー。久野 洋平(Dr)が「楽しんでますか? 楽しんでるの、見たら分かります!」と口にするほど、オーディエンスは彼らの音楽を身体全部を使って楽しんでいた。

飯田が「池下 UPSET、10周年おめでとうございます。今日は後輩に噛み付く先輩でいたいと思います。全力でホームラン打ってくんで、宜しく!」と椎木の挑戦とも言える言葉を受けて立つと、『drama』、静と動が入り混じって1つのしなやかな流れを生み出していく『daydreak syndrome』、『シャドウ』と続けざまに想像力を掻き立てるようなサウンドスケープを描いて見せる。


「マイヘアは熱いところが僕らと似ていて親近感を覚えています」と言った飯田が、「どこかで見てくれてると思うけど…」と呟くと、フロアに居た椎木が「見てます!」と返す。お互いの関係性が垣間見える和やかな一面を挟みつつ、三島が「後半戦! 先輩を立ててくれてたとはいい、ケンカ売ってたと思うんで!My Hair is Bad、売られた喧嘩は買って立ちますよ」と不敵に言い放つと、白い閃光が輝く中、起爆力に満ちた『great escape』、『切り札』と彼らの持つマスターピースを惜しげもなく披露。フロアのテンションを完全に掌握した彼らは、無敵状態。『exp』では、ライトに照らしだされたオーディエンスが共に歌う。その歌声を浴びるようにして笑う辻の姿が印象的だった。

そして、「ラスト1曲!皆さん、ついてきてくれますか!」とフロアに叫んだままの勢いで投げかけられたのは『西南西の虹』。真っ赤に染まったステージの上を歪んだ轟音が駆け巡り、ねずみ花火が弾けるようなサウンドと共に、熱狂と興奮のステージは幕を降ろした。

すぐに巻き起こる手拍子。それに応えて、再び登場したcinema staff。久野が「もう2曲やってもいいですか? 初めてやる曲です。宇宙初」と話すと、新曲『希望の残骸』をドロップ! サビでの光が溢れかえるような音像が印象的なこの曲は、“今になって気付いたって それはきっと遅くない”という言葉が耳に残る、ニューアルバムが益々楽しみになる1曲。最後を飾ったのは三島のシャウトが響き渡った『AMK HOLLIC』。一瞬でフロアを熱狂の渦に巻き込む。フロアへと飛び込む辻。掻き鳴らしたギターの音を残したまま、彼らはステージを後にした。

今回、10周年の節目を迎えた池下CLUB UPSET。両バンドも同じくらいの歴史を持っているバンドである。バンドを続けてきて、気付いたら節目を迎えている。とても素敵なことですよね。”そんな言葉がステージから飛び出していた。ライブハウスとバンド、一見違うもののように感じるが、良い音楽を届けていきたいという真っ直ぐな想いは同じだ。それぞれの歴史を重ねた先に、また今日のような1日があれば、そんな素敵なことはない。そう思えるような1日だった。これから重ねていく彼らの歴史をこれからも見つめていきたいと思う。
文/渡辺真綾 写真/前田達也(tatsuyamaedaphoto.tumblr.com)
■My Hair is Bad
01.優しさの行方
02.愛ゆえに
03.ドラマみたいだ
04.悪い癖
05.彼氏として
06.真赤
07.エゴイスト
08.クリサンセマム
09.ディアウェンディ
10.元彼氏として
11.マイハッピーウェディング
12.フロムナウオン
13.卒業
14.戦争を知らない大人たち
15.アフターアワー
■cinema staff
01.KARAKURI in the Skywalkers
02.theme of us
03.tokyo surf
04.dawnrider
05.drama
06.daybreak syndrome
07.シャドウ
08.great escape
09.切り札
10.exp
11.西南西の虹
(encore)
12.希望の残骸
13.AMK HOLLIC





















