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ライター ツボイ

2020.11.6

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a flood of circle 10th Full Album『2020』インタビュー

「ネガティブな状況に対して、音楽はポジティブなものであるとずっと思っている」

a flood of circleが10枚目となるフルアルバム『2020』を10月21日リリースした。収録曲の歌詞はコロナ禍になる前、昨年から書いていたそうだが、力強くポジティブであり、寄り添ってもくれる。ただそれは、元々バンドが持っていたものでもある。今作ではそれをシンプルに表現しているため、しっくりくるのかもしれない。そのアルバム『2020』の収録曲はどのように生まれたのか。ソングライティングを手掛ける佐々木亮介に訊いた。

―10月21日にリリースされたアルバム『2020』はいつ頃から制作を始められたのでしょうか?

佐々木亮介: 去年の秋冬から少しずつ曲を作り始め、レコーディングもしていました。今年の5月に録り終わる予定だったのですが、緊急事態宣言の影響もあって6月まで掛っちゃって。

―制作への影響はどれくらいありました?

佐々木: ライブが全て無くなったので、単純にいつもより練習する時間が増えました(笑)。それに、シンキングタイムが長くあったのは良かったなと。今までで一番アレンジに時間を掛けられたので、クオリティの高い作品が出来たと思います。

―そのアルバム『2020』の歌詞ですが、全体的に強くてポジティブな印象を持ちました。特に1曲目『2020 Blues』は今の世の中にしっくりきます

佐々木: ネガティブな状況に対して、音楽はポジティブなものであるとずっと思っているので、それが大きいかな。歌詞はコロナの前から書いていたのですが、今聴くとより際立ってポジティブに聴こえますよね。『2020 Blues』に関しては単語の羅列なんですけど、絶妙な距離感で書いたのが、今の感じに上手くハマったのかも。

―この曲から繋がっているかのように『Beast Mode』が始まります。この曲は先行でリリースされていますが、敢えてこの流れにされたのでしょうか?

佐々木: 『Beast Mode』は、『HEART』と『2020』の間の作品として会場限定で売ろうと思っていました。ライブ会場でオーディエンスの声を録音して、それをライブ会場限定で売るという昔ながらのライブバンドとしてのリリースにしたかったけど、ツアーが飛んじゃったので、オンラインサイトでのリリースになっちゃって。だからアルバムでは違う聴こえ方にしたいなと。そこで、似たようなアイテムで違う曲を作って、それを1曲目にイントロ的な意味合いで置くことで『Beast Mode』の表情が変わって聴こえたらいいなと思って、1曲目と2曲目をセットで考えました。ライブもこの流れで始めようと思っています。

―そう思うと、今作はそのままライブのセットリストにできそうな曲順になっていますね

佐々木: そうなんですよ!今回初めて1曲目から12曲目までの曲順を最初から決めて制作に臨んだんです。いつもは、メンバーの意見も聞きながら決めていたんですけど、今回は「リードはこの曲で曲順はこれでやる」と最初に言いました。自分の中で構成がイメージできていたので、流れはいいと思います。

―流れで言うと、最初の3曲がa flood of circleらしいロック曲になっているので、次の『Super Star』がすごくシンプルな曲に聴こえます

佐々木: そもそもすごくシンプルな曲ですから(笑)。ライブでシンプルに演奏しつつも、自分たちのノリやエモーションを込めやすい曲を入れたいなと思っていたし、シンプルな強さが今のフラッドにはあるので、それをカタチにしました。どんどん自分の気持ちがそこへ行っていて、“ビーストモード(本能モード)”でシンプルな気持ちが一番大事だというのが『Super Star』には入っています。

―そして『天使の歌が聴こえる』。今の世の中に寄り添ってくれるような歌詞にグッと来るだけでなく、HISAYOさんのコーラスも新鮮です

佐々木: 俺もそう思います。Bメロから彼女のコーラスが入るんですけど、Bメロは俺が歌わず姐さん(HISAYO)がリードボーカルでいいんじゃないかぐらい気に入っています。姐さんって今年で加入10年目なんですよ。最初は歌うことを嫌がっていたんですけど、この10年間で関係性も変化したり彼女の幅も広がったのかなと。だからこそこの曲は、姐さんとフラッドの成長の証みたいな気がしています。

―そのコーラスも含め美しい曲だなと思いました。『人工衛星のブルース』の心地良いメロディも好きなのですが、YouTubeのイラストを見ていたら何かちょっと切なくなって

佐々木: (笑)。落書きの映像ですけど、鉛筆っぽい線で手書きで600枚ほど書いて、それを1枚ずつスライドするという原始的な撮影方法だから伝わることや、表現できるニュアンスもあるなと。あの映像は、今のフラッドのスタンスが出ていると思います。

―イラストを見るとまた違う感情が湧きます。そして次の『Rollers Anthem』は、まさにa flood of circleのアンセム的な曲ですね

佐々木: この曲と『ファルコン』はスタンダードなフラッドですね。ライブでやりたいなぁ。

―ライブで聴きたい曲でもあります。“間違ってない”や、“誰がなんと言おうとこれをロックンロールと呼ぼう”など力強くて前向きな歌詞が印象的です

佐々木: これはメンバーのおかげなのかな。このアルバムは一緒にバンドをやっているメンバーみんなで作っていることを特に意識して作ったので、その辺が前向きになれる理由になっている気がします。ソロだったらこうならないんじゃないかな。メンバーと一緒に演奏して歌うなら何がいいのかを考えると、みんなで歌うことも含め前向きになっちゃうんですよね。

―バンドだからこそ出来た曲なんですね。次の『ヴァイタル・サインズ』のグルーヴ感もバンドならではだと思います

佐々木: 好きなフラッドの演奏ってこれだなと。今回のアルバムの中で、この曲だけみんなで向き合って「せーの」で演奏しました。ラフで自然なフラッドの演奏になっています。

―低い音がまたいいんですよね

佐々木: この曲で俺はギターを弾かず、全部テツに任せています。3人の演奏がカッコいいので、俺はそれに乗っかって叫んでいればいいという(笑)。

―なるほど(笑)。そして最後の曲『火の鳥』は壮大で広がりを感じます

佐々木: 8分の6拍子というビートで、ソウルに多いらしいです。なべちゃん(渡邊一丘)のドッシリしたビートが好きなので、アルバムに1曲そういうのがあるとライブでいいなと思って作りました。小説家の住野よるさんが、レビューで「狭いライブハウスで聴けば、ここで世界をひっくり返すんだという歌に聴こえ、天井のないフェス会場で聴けばどこまでも曲が飛んでいくように聴こえます」と書いてくれたんですけど、『火の鳥』はまさにそういう曲かもしれない。外で聴いたら広がっていく感じがする。野外でやりたいですね。

―確かに野外で映えそうです。気になったのですが、“大地讃頌”というワードがこの曲と最初の『2020 Blues』の歌詞に入っています。何らかの意味を感じたのですが…

佐々木: これは自然に書いていました。後から気付いたんですけど、アルバムとしてのトータル感や自分のビーストモードとすごく繋がっているなと思って、そのままにしました。名古屋でも東京でも地面は全部コンクリートだけど、その下には土や草があっていろいろ覆い隠している感じがして。自分に関しても、納得していない理屈や建前というネガティブな部分が、いろんなことで覆われているように感じていました。でも、自分の好きな音楽が本能的にさせてくれて、気持ちいいことが大事だと気付かせてくれた。そう思ったら、今の自分のモードはコンクリ讃頌じゃなく大地讃頌だなと。

―大地讃頌にはそんな深い意味があったんですね。その今作のタイトルを『2020』にしたのは、やはり2020年リリースだからでしょうか?

佐々木: 単純に、2020年に出すから去年作り始めた時に『2020(仮)』とメモしていたんですけど、段々『2020』はデザイン的にもいいなと思うようになって。でも、コロナ禍になってからは、絶対みんな使うだろうなと思って『Rollers Anthem』にしようと思ったんですよ(笑)。でも、メンバーやマネージャーが「『2020』でいいじゃん」と言ってくれたので決めました。

―分かりやすくて良いと思います。そして、来年は結成15周年です。考えていることがありましたら教えていただけます?

佐々木: 結構考えていて、普通にライブできる前提ですけどライブの企画もしているし、アルバムも15周年ならではの作品を作ろうかなと。でも実際は、俺となべちゃんだけが15年で、姐さんは今年10年、アオキテツは一緒にやりはじめて5年とバラバラなので、15周年とテツに言ってもあまりピンとこないと思うんですよ(笑)。メンバー間では「何周年を理由にして生まれる作品があればいいことだと思うし、それを楽しめればいいよね」という話をしていて、今できることをマックスでやろうと思っています。自分でもワクワクしているし、『2020』がいい感じで出来たと思っているので、このまま次に進めたらすごくいいものができるんじゃないかな。それに、テツが正式メンバーになって1作目が前回で、今回の『2020』が2作目になるんですけど、まだ完成していない気がしていて。個人的には3部作の気持ちなので、だからこそ来年の15周年のアルバムは、テツが入ってからのひとつの完成形になるんじゃないかと思っています。メンバーのパワーだけでいいものができる気がしているので、みんなのパワーを信じていいものを作りたいですね。

―楽しみにしています。今年も残り後2ヶ月です。この間、11月25日(水)と12月25日(金)にライブを開催されます。どのようなライブなのでしょうか?

佐々木: 会場に入れる人数を減らしつつ、ライブ配信もやります。11月25日の方は『2020 LIVE』としてアルバムのツアーが出来ない分、この1本に全力を注ぎます。12月25日の方は、姐さんの加入10周年を祝うパーティーです。姐さんが入った一発目のアルバムが『LOVE IS LIKE A ROCK'N'ROLL』なので、その再現ライブやろうと。ただのお祝いパーティーです(笑)。

―どちらも配信されるので、どこにいても観られますね

佐々木: もちろん名古屋に住んでいる人も観られますので、ぜひ観てください!

■YouTube

『Beast Mode』Music Video

『Rollers Anthem』Music Video

『人工衛星のブルース』Music Video

■リリース情報

『2020』
10th Full Album
2020.10.21 発売
初回限定盤(CD+DVD) 3,800円(+tax)
通常盤(CD) 3,000円(+tax)

■LIVE情報
2020 LIVE
11月25日(水) 恵比寿LIQUIDROOM
※アーカイブは11月28日(土)23:59まで視聴可能

HISAYO加入10周年「LOVE IS LIKE A Beer!Beer!Beer!」
12月25日(金) 新宿LOFT(2回公演)
※配信は2回目のライブを生配信

■オフィシャルHP
http://www.afloodofcircle.com

■プロフィール
2006年結成。佐々木亮介(Vo/Gt)、渡邊一丘(Dr)、HISAYO(Ba)、アオキテツ(Gt)の4人組。常にコンテンポラリーな音楽要素を吸収し進化し続け、最新のロックンロールを更新し続けているバンド。2009年にメジャーデビュー。2016年にベストアルバムのリリース、自身初となる海外ツアーを開催。デビュー10周年となる2019年3月にアルバム『CENTER OF THE EARTH』をリリースし、11月にメンバーそれぞれが作詞作曲したミニアルバム『HEART』をリリース。そして2020年10月21日に、10枚目となるフルアルバム『2020』をリリースした。2021年にはバンド結成15周年を迎える。

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